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日向見薬師堂[日記] |
2018/11/06 |
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関東以外の方には「四万温泉しまおんせん」といってもあまり伝わらないであろう。 群馬県の温泉だよ、とさらに押しても、草津・伊香保を思い出してくれるのが関の山。 しかし、そんな地味な四万温泉は実は「国民保養温泉地」の指定第一号なのである(昭和29年)。 県民必修カリキュラム「上毛かるた」では「世のちり洗う四万温泉」と詠われており、マイナーなれどかなりの名湯なのである。
催事の後ごとに行くようになりもう三・四年経つので、わたくしの四万詣でも割と回を重ねている。 今回は群馬の奥、四万温泉のそのまた奥。 温泉発祥の地といわれる、湯治場の面影色濃くのこす日向見という地域に投宿。
伝説に曰く 永延3年(989年)に源頼光の家臣で、渡辺綱、坂田金時、卜部季武と共に四天王として勇名を轟かせた日向守碓氷貞光が、 越後から上野国に越えるときにこの四万の地に訪れて、山のたたずまいや谷川の響きに心を澄まし、夜もすがら読経をした。 夜半の頃、どこからともなく童子があらわれていうのに、 『汝が読経の誠心に感じて四万「よんまん」の病悩を治する霊泉を授ける。我はこの山の神霊なり。』 夢うつつにこの神託を聞いた貞光は、覚めて後に湧出する温泉を見つけた。 このことを不思議に感じた貞光は、一宇の堂を建立して自らの守本尊の薬師如来を安置し、 日向守貞光寺薬師瑠璃如来と号し、温泉は「御夢想の湯」と呼び、神託にちなんでこの地を四万「しま」の郷と名付けたとか。
湯前権現として祀られた源泉。 薬師堂は慶長三年の棟礼、真田丸の時代。 その頃の建築様式をよく残しており国の重要文化財に指定されている。
個人的にはその前に立つお篭堂(慶長十九年)がなんとも淫靡なイメージをもたらしてくれる。 壁に打ち付けられた杓子絵馬も庶民信仰が混交しているようで面白い。
その隣には建物こそ新しいが御夢想の湯という古湯が。 無料の共同浴場で、湯船はなんと、大きな一枚の黒御影を刳り貫いたもの。 すべすべした肌さわり。 小さいがなんともなめらかで贅沢。 タダなれど三百円喜捨。
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