はじめて、このお札を見せられたとき文字どおり身体が震えたことを覚えています。 骨董屋として四・五年が経ち、モノを覚えていったと同時に少しづつモノにも飽きてきていた頃だったのでしょう。 ぱっと見た瞬間、全体にあふれる呪術的威圧感。ある種のデーモニッシュ的存在にに打ちのめされました。 続いておとずれた、これはいったい創作版画なのか、薬の包紙なのか?何モノなのかが判らない不安…。 とにかく自分のものにしなければ、と震える手で包むのももどかしく買って帰ってきました。 調べてみると、秩父札所の二十五番久昌寺の札。
このグルグルしたヘンな物は閻魔さまの御手判ということで「こんな世界があったんだ」と。
まさに開眼いたしました。
陰陽に通じる黒白での表現。
【印仏】や【摺仏】が修行であるように、同じ行為を何度も行う版画に通う宗教性。 その魅力をお伝えできればと思います。