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吉原航平『俗の術』展[日記] |
2016/10/19 |
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この頃のお友達なのですが、20歳程も違うのに実に良く物を知っておる。 とくに民間信仰のことなど詳しく、またフットワークも軽くあちらこちらと各地を訪ね歩いている。 いろいろと教えてもらっている方なのです。
その人が国立で個展をやると聞きまたびっくり。 絵も描くんだ、というより画家さんだったのでした。 吉原航平『俗の術』
その作品を初めて見たとき、拓本かと思いました。 拓本の良さは、複製にも関わらずそのものの持つ、本物しか持ちえない<何か>を写し取っているからといえましょう。 だとすると吉原さんの絵にも何かしら<何か>が写し取られていたとも言えます。
土俗面や狛犬・獅子頭、恵比寿大黒、民間仏。 見慣れたはずの動かぬ古物が、生ある精霊の如く溌剌と画面に息づいているのを感じたとき、 この人には、古物の中に厳然と存在する信仰の根っこが見えているのではあるまいか、と少し恐ろしさを感じたほどでした。
モノ好きはとかく切り捨て勝ちになる信仰の根っこ。 しかし根っこどもが姦しく叫んでいる吉原さんの絵からは、 案外この切り捨ててしまっていた所にこそ、まだまだ豊穣の大地が広がっていることを示しているように思えます。
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