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北越行[日記] 2015/11/19

信濃の山々は燃えていました。

このごろ紅葉を小馬鹿にしていたのは、東京の公園の銀杏やら、
京の寺社のモミジやらを<紅葉>と勘違いしていたからに違いありません。
山はすごい。迫力が違う。心奪われ魂消てしまう。
今回は北越行脚であります。


長野県の千曲市で興味深い展覧会が。
『樹木と人の交渉史』

縄文の遺跡から円空仏まで、木との長い付き合いを見せてくれます。

ところで考古遺物で木製品というと、
殆どが低地遺跡から水に浸かっての出土品。
そうでないと残らないのですね。
先日行った茨城・土浦の上高津貝塚の展観も、霞ヶ浦の低地遺跡。
このごろどうも低地・湿地帯に縁があるようです。
こんな時はそれに因むものが仕入れられたりします。たのしみです。
円空の陰に隠れて、以前紹介した松本の七夕飾り、<カータリ>もぶらぶら揺れています。
円空仏に全く負けていないのがすごい。

越後に入るとまだ山は沈黙。

仕事を終え、昔、少し暮らしたことのある城下町高田に宿を取ります。
このまちはわたくしにとっての、まさにスタンド・バイ・ミー。
街中を歩くだけで、懐かしさと、喪失感に胸を苛まされます。
何を失ってしまたんだろう?

一緒に引越し荷物の中に入れなければならなかった大事なものを、
この街のどこかに置き忘れてきてしまいました。
だから、大きくもない夜のネオン街を飽きもせず徘徊するのでしょうね。

…前回は鄙びた感じの店で、おかぁさん相手にゆっくりおでんなどつつきましたが
今回は新しい居酒屋の流れとでも言いましょうか、あかるい店内でレアな地のものを出すスタイルの店。
鏡鯛の肝を蒸したもの、甲箱蟹の外子を魚醤で和えたもの、(これが歯触り鮮烈!)
ボタン海老と日本海近郊しか出回らないドロ海老。このドロ海老は美味しかったなぁ。

上越の地酒<かたふね>をあおりつつ、甲箱蟹は酒蒸しで頂きました。
いいなぁ新潟。いいなあ日本海。