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本橋成一写真展 『屠場』[日記] |
2012/06/16 |
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この頃では批判も上がるようになりましたが、初めて網野善彦氏の著作を読み、 被差別民・部落の形成された理由を知ったときは、驚きもし、その深淵さに打ち震えもしたものでした。 神仏の近くに居り畏怖される存在から、いつしか忌避されてしまうものになる。なってしまう。 昨今の原子力ムラでも散見されるようですが、差別の問題は共同体とは不可分な性質を持っているのでしょうか。
さて、銀座のニコンサロンで開催されているこの展覧会。 題名の『屠場』とは牛の食肉処理場のこと。 古来より、被差別部落の人たちが担ってきた職業でもあります。
そんな牛と人の葛藤を切り取ったような写真ですが、見てゆくにつれ段々と社会的な重さを受け止めるより、 ただただ、一芸に秀でた職人たちの姿がそこにある。だけのような気にもなります。
網野さんの甥にあたる中沢新一さんが、ラテン語の語源で<職人>を表す言葉は、<テクニック>の語の語源でもあり、 それは隠れたものを顕わにする技を持った人だ。といった意のことを書かれていました。
山師は見えない地下鉱脈のなかから金を探し出し、 料理人は素材に潜む旨さを引き出し、 屠場では牛の裡に在る、食の材料、衣の材料、住の材料を 一片の無駄なく、ピカピカに輝くステンレスの作業台に上に並び出し。
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