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くらわんか考[日記] 2015/08/11

口の端にのぼるのはしょっちゅうなのだが、実は実態はよくわからない。
「くらわんか」についてはずっとその感覚がぬけない。

手許に骨董雑誌『遊楽』1994年11月 特集くらわんか号がある。
なんてことない。さすが遊楽。
もう20年も前にくらわんかの秘密=波佐見産であること、元禄まで遡ることはとても無理で、せいぜい化政期からの代物だということ。
をはっきりさせている。

にもかかわらずどうもムズムズするのは、例の淀川三十石舟での「飯くらわんかっ、酒くらわんかッ」のくだり。
膝栗毛や浮世絵にも出ているとはいえ、「誰か見た人いるんかいな?」
と、ここだけ妙にリアルになる語り草に違和感を感じている。

−感じていたのだが、先日仕入れた小ぶりのくらわんか碗には赤絵で大坂○舟橋〜と焼き付け(上絵付)がしてあった。
(洛東山花と入っている碗もある。今でいう居酒屋の屋号入りの盃・徳利みたいなものか。)

<大坂>と<○舟橋>との名前が入っているだけで、浪速の水辺の景色がほの見えるよう。
出来すぎたドラマのように思っていた「くらわんかの物語」が少しだけ近づいてきた感じがする。