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盲暦[日記] 2013/06/28

盲暦、めくらこよみ、と読みます。
北国南部藩に於いて、文盲の農民でも暦を読むことができるよう、
それによって自然の摂理を理解し、農作業にいかせられるようにと作られた絵暦のひとつです。

実は南部の絵暦は二つあり「田山暦」と「盛岡暦」とに分けられます。
明治の初頭で消えてしまった田山暦はまさしく幻の暦。
所在が確認できる現存数はたったの五部。(1983年時)
木活で摺られる折帖のもの。

対する「盛岡暦」は最初から販売用に作られていたため、現存数は少なくありません。
南部藩お抱え印判師の<舞田屋理作>が版元になり、文化七年(1810年)の暦が確認される最古のものだとか。
現存最古は天保十三年(1842年)のもの。
しかし、この舞田屋版は明治五年で断絶。
盛岡暦は明治十八年<米沢稲城>による復活を待つこととなります。

こんなところが盲暦の概要です。

田山暦は扱ったことはありません。
売り物でも出ないでしょう。
以前明治古典会の目録で見たような記憶があるのみ。

盛岡暦は東北では買えませんが、関東ではママ仕入れられます。
同業仲間がウブで仕入れた箱入りの飯茶碗には、
盲暦が梱包紙として使われていたそうです。

それでも、江戸期の暦は少ないのです。
今回はじめて仕入れられました。
嬉しいです…。